朝がつらいと感じるお子さんへ~起立性調節障害~
- 2025年4月11日
- 専門外来(アレルギー、おねしょなど)
新しい環境や出会いの4月となりました🌸
環境の変化に伴い、心身の不調を感じやすくなります。
今回は、“ 起立性調節障害 “ についてご説明します✨
💡起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)とはどんな病気?
自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
この病気は決して珍しい病気ではなく、小学校高学年から中学生にかけて約10%の子供が発症すると言われています。
💡原因は?
①自律神経の働きの乱れ
自律神経は体の中で無意識に働いている神経で、心拍数や血圧、体温の調節をしています。
立ち上がる時、血液が下半身に集まるのを防ぎ、脳に血液をしっかりと送るように調整するのも自律神経の役目です。
ODでは、この自律神経の働きがうまく調整できず、立ち上がると血圧が下がり、眩暈や立ち眩みが起こります。
②体調や生活習慣の影響
成長期にある中学生や高校生は、自律神経の働きが未熟で、急に立ち上がった時に血圧が安定しないことがあります。
睡眠不足や食事の不規則、ストレスなども影響を与えることがあります。
③遺伝的要因
家族に起立性調節障害がある人がいる場合、遺伝的にその傾向があることもあります。
💡主な症状は?
●立ち眩み、眩暈、立っていると気持ちが悪くなる
急に立ち上がった時に血液が下半身に集まり、脳に血液が届きにくくなり、眩暈や立ち眩みが起こります。
●動悸や息切れ
心拍数が急に変動し、動悸(ドキドキ感)を感じることがあります。
●朝起きられず、午前中調子が悪い
午前中、特に朝は自律神経の働きがまだ弱く、調整に時間がかかるため、午前中の調子が悪くなります。
●顔色が青白い、食欲不振、腹痛、疲労感、頭痛
体調が安定しないことから、日常生活で体が怠く感じたり、疲れやすくなることがあります。また、腹痛や頭痛がすることもあります。
★当院での診療について★
当院では、初診時に30分時間をとって、まずは問診を行います。
その後、必要に応じて血液検査やODテスト(新起立性試験)を行います。
<新起立試験>
まず新起立試験を行う上では、体の不調が顕著となる時間帯である午前中に試験を行います。
患者さんが寝ている状態から立ち上がった時の血圧や脈拍の変化を調べます。
立ち上がった時に血圧が急激に下がったり、心拍数が大きく変動した場合、起立性調節障害が疑われます。
💡日常生活での注意点は?
●起床時は時間をかけてゆっくりと
寝た状態や座った位置から、急に立ち上がらず、30秒以上かけて頭を下げたままゆっくりと立ち上がりましょう。
●暑い日は無理しない
暑くなると血管が緩んで血圧が上がりにくくなります。学校での体育は無理せず、途中で日陰で休息をとるなど先生と相談しましょう。
●規則正しい生活を心がけよう
十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ることが、体調の改善に繋がります。特に、夜更かしや不規則な食生活は避けるようにしましょう。
朝起きられない時は、少しずつでいいので起きる時間を固定して、必ずその時間に起きられるようにしましょう。
●食事は塩分多めに
血圧を安定させるために、十分な水分(1日1.5~2Lが目安です)を摂取することが重要です。
特に、塩分(ナトリウム)を2~3g多めに摂ることも役立ちます。これにより、血液量を増やし、血圧を安定させることができます。
●適度に運動をしよう
自律神経の働きを良くするために、軽い運動が効果的です。ウォーキングやストレッチなどが推奨されます。体調の良くなる夕方に散歩を15~30分程してみましょう。
重力のかからない水泳も良いでしょう◎
その他、弾性ストッキングを着用するのもおすすめです。ゲームやスマートフォンの画面を見ると、脳が活発になり眠れなくなってしまうので、寝る前は避けましょう。
💡みんなに知っていてほしいこと
起立性調節障害という病気を知らない方は多いはずです。特に思春期に発症しやすい病気ですが、クラスメートは意外と知らない子がほとんどかと思います。
「どうして遅刻ばっかりなの?」
「また休んでいたけどサボってるの?」
「もっと頑張ったら?」
と、知らない子達からするとそう思ってしまうのも当然です。体調も個人差があるため、不登校になってしまう子も少なくありません。
もしこうなった時は、周りにしっかりと伝えることが大切です。
「恥ずかしくて言えない」
「言ったら仲間外れにされるかも」
不安になってしまうのも無理ありません。しかし、伝えることも自分を守るための一つの材料です。
Q.遅刻や欠席が多いのはなぜ?
A.自律神経がうまく働かなくて、特に午前中に調子が悪いことが多いからです。
Q.特に夏はしんどそうなのはなぜ?
A.夏は暑いので血管がゆるんで血圧が上がりにくくなるからです。冬の方がしんどくなるパターンの方もいます。
Q.楽しみな行事の時だけ起きられることがあるのはなぜ?
A.自律神経の働きの関係で動けるようなことがあり、予想外に朝起きられたり、動きやすくなることがあります。
Q.元気そうだった次の日に欠席することがあるのはなぜ?
A.楽しく参加した行事でエネルギーを使い切ると、休憩が必要になり、しばらく起きられなかったり動けなかったりすることがあります。
Q.ずっと立っているとしんどくなりやすいのはなぜ?
A.長時間立っていると、血液が足の方に溜まってしまい、血液が下がり目の前が真っ暗になったりしてしまいます。
そのため、立ちっぱなしや、立ったり座ったりを繰り返す卒業式などの学校行事はしんどくなりやすいです。体育を見学する時は、座らせてあげましょう!
起立性調節障害の方もそうでない方もお互いが理解し合える環境を作っていきたいですよね!
周囲の人がこの病気を理解することも、とても大切な一つの安心材料となります✨
💡ODが疑われたときは早めに相談を!
もし、眩暈や立ち眩み等が続き、起立性調節障害が疑われる場合は、一度ご相談ください。
どんな症状も我慢せず、早めに対処することが大切です✨
ご受診希望の方は、お電話にてご予約下さい📞
【参考】
当院HP:起立性調節障害
https://miyakawa-clinic.jp/menu/%e7%ab%8b%e3%81%a1%e3%81%8f%e3%82%89%e3%81%bf/
起立性調節障害 クラスメートに知ってほしいこと
https://www.jisinsin.jp/?s=%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E8%AA%BF%E7%AF%80%E9%9A%9C%E5%AE%B3