主な風邪ウイルス一覧
- 2024年5月16日
- 感染症あれこれ
4月から保育園に行き始めたお子さんは、毎週のように新しい風邪をもらってくる時期ですね。
「風邪」とは?
一般に鼻から喉にかけておこる急性の炎症によるいろいろな症状(鼻汁、咳、咽頭痛など)をさします。
風邪の原因は?
80-90%がウイルス感染といわれています。
クリニックなどで検査できる「インフルエンザウイルス」、「コロナウイルス」、「アデノウイルス」、「RSウイルス」、「ヒトメタニューモウイルス」は風邪の原因となるウイルスです。
もちろん、検査できないウイルスもたくさんあります。
◎ライノウイルス
子供から高齢者までかかることのある、いわゆる風邪の原因となる代表的なウイルスです。
ライノウイルス感染により喘息を悪化させたり、高齢者施設で集団発生することがあります。
ライノウイルスはエンテロウイルス属で、エンベロープを持たないためアルコール抵抗性があるといわれています。
◎パラインフルエンザウイルス
名前が似ていますが、冬に流行する季節性のインフルエンザウイルスとは異なるウイルスです。
パラインフルエンザウイルスには4種類の血清型があり、血清型によって流行に季節性がみられるのが特徴です。1型は初夏から秋口、2型と4型は秋から冬、3型は春から夏に多く流行が認められます。
3型は感染性が強く、ときに気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。
◎RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス
RSウイルスやヒトメタニューモウイルスに感染すると発熱が3-4日持続し、日増しに咳がひどくなるのが特徴で、ときに喘鳴(ぜーぜー)がみられます。
乳幼児や高齢者では重症化することがあり注意が必要です。
RSウイルスは、もともとは冬に流行する感染症でしたが、現在では5~7月ごろにかけて拡がる感染症です。
◎アデノウイルス
高熱が持続しやすい感染症です。咽頭痛や消化器症状(腹痛や下痢)を伴うことが多く、咳や鼻汁も認めますが、あまりひどくなることはありません。
アデノウイルスは60種類以上の型が知られ、年間通じてみられる感染症です。
アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)は感染性が強く、学校保健安全法で登園・登校停止扱いとなっている感染症です。
◎エンテロウイルス、コクサッキーウイルス
手足口病やヘルパンギーナの原因となるウイルスで夏に流行します。2-3日発熱が続き、消化器症状(下痢や腹痛)を伴うこともあります。
新生児や乳児では髄膜炎を起こしたり、心筋炎や脳炎などの重篤な合併症をきたすことがあります。
上記以外にも、マイコプラズマも小児の気管支炎や肺炎をきたす原因微生物として重要です。溶連菌も主に発熱と咽頭痛を認める風邪の原因となる細菌です。
ウイルスの種類によって流行しやすい時期があり、検査で原因を同定できなくても、ある程度症状から推定できることも多いです。
しかしながら、どんなウイルスが原因であっても、症状に合わせて内服薬を調整したり、貼付薬や吸入薬を組み合わせて、早めに症状を和らげていくことが重要です。
当院では吸入器の貸し出しをしたり、外来で鼻汁吸引も行っています。
子供たちは、まだ鼻をうまくかめなかったり、喀痰の排出がうまくできないことも多いので、症状が悪化したり、長引く場合には、お早目にご相談ください。
参考: