節分~大豆のお話~
- 2023年2月2日
- 専門外来(アレルギー、おねしょなど)
節分とは季節の変わり目のことで、邪気が生じると考えられています。
豆まきは、邪気を払う力があるといわれ、豆をまいた後に年の数だけ豆を食べて1年の健康と幸福を祈る、大切な行事です。
今回は豆まきに主に使用される「大豆」について調べてみました。
1.大豆は栄養が豊富
・たんぱく質
大豆は豆類の中でもたんぱく質や脂質に富み、「畑の肉」といわれています。
・アミノ酸
リジン、スレオニンというアミノ酸組成が高く、両者が不足しているご飯と一緒に摂取すると、栄養を補い合いバランスが良くなります。
・カリウム
大豆はカリウムを多く含み、体内の塩分(ナトリウム)の排泄を促すため、高血圧の改善に効果があります。
・イソフラボン
骨粗鬆症や更年期障害の改善、動脈硬化や脳梗塞の発症リスク軽減効果が知られています。
認知機能の改善効果や、近年では肥満症にも効果が示されています。
2.大豆アレルギーに注意!
①乳幼児期に発症する大豆アレルギー
加熱しても、加工品でもアレルギーは発症します。
醤油や味噌といった発酵したものは、たんぱく質が分解されるため症状が出難いです。
大豆は成長に伴い摂取できるようになってくる(耐性を獲得する)といわれています。
②花粉-食物アレルギー症候群としての大豆アレルギー
春の花粉症の原因であるカバノキ科(ハンノキ、シラカンバ)にアレルギーがある人は大豆やバラ科の果物(リンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、ビワ)で食物アレルギー(主に口の違和感などの症状)がでやすいといわれています。
豆乳は注意が必要で、もやし・枝豆・豆腐でも症状が誘発されます。醤油、味噌、納豆のように十分な加熱や加工処理がされていればほぼ問題ありません。
3.大豆の誤嚥に注意!
子供では誤嚥(ごえん)に注意が必要です。
気道に落ち込むと激しい咳発作になったり、ぜーぜー(喘鳴:ぜんめい)したり、肺炎を起こすことがあります。子供の誤嚥は1歳ごろが多いです。何でも興味を示して口に入れてしまう年齢ですね。
ピーナッツやアーモンド、大豆や枝豆は誤嚥しやすいので注意しましょう。3歳未満の子供には食べさせない、3歳以上のお子さんでもきちんと座って食べることを徹底しましょう。
2月3日は「節分の日」。
“上手に”大豆を食べて、病気(鬼)に負けない強い体を作りましょう!
【参考文献】
・村上祥子:大豆の栄養.学校給食 66(1): 22-29, 2015.
・福冨友馬:食物アレルゲン別の診療のコツ 大豆.小児内科 53: 975-978, 2021.
・川城信子:気道異物.小児科診療 58: 283-285, 1995.