細菌性食中毒にご注意を!梅雨から夏にかけて増える感染症
- 2025年6月20日
- 感染症あれこれ
梅雨の高温多湿な6月から8月にかけて、注意が必要なのが「細菌性食中毒」です。
中でも主な原因菌として知られているのが、カンピロバクターとサルモネラ菌。これらの菌は、発症までの潜伏期間や引き起こす合併症が異なり、食べた直後ではなく、数日前の食事が原因となることも少なくありません。
今回は、お弁当や家庭でよく使われる食材を中心に、細菌性食中毒の主な原因菌と注意点についてご紹介します。
【黄色ブドウ球菌】
主な原因食材
おにぎりや調理パン、サンドイッチなど人の手で触れる食品
潜伏期間
30分~8時間程度(平均3時間)
主な合併症
敗血症、心内膜炎、肺炎など
黄色ブドウ球菌は人の皮膚や鼻の中にも存在し、手指から食品に移ることがあります
【セレウス菌】
主な原因食材
チャーハン、パスタ、焼きそばなど常温で放置された炭水化物系の料理
潜伏期間
嘔吐型:30分~6時間
下痢型:8~16時間
主な合併症
肺炎、膿胸、骨髄炎心内膜炎など
【サルモネラ菌】
主な原因食材
加熱不十分な卵、マヨネーズ、ハム、ソーセージ
潜伏期間
8~48時間程(まれに3~4日後)
主な合併症
菌血症、骨髄炎、関節炎など
小児や高齢者はギラン・バレー症候群、反応性関節炎を引き起こすことがあります
【カンピロバクター】
主な原因食材
加熱不十分な鶏肉、焼き鶏、鶏刺しなど
潜伏期間
2~7日(平均3日)
主な合併症
手足のしびれや麻痺、呼吸困難など神経系の疾患(ギランバレー症候群)
関節炎、菌血症、心内膜炎、流産
【腸管出血性大腸菌 (O-157など) 】
主な原因食材
加熱不十分なハンバーグなどの牛肉、サラダ
潜伏期間
2~9日(平均3~5日後)
主な合併症
溶血性尿毒症症候群(腎不全や痙攣を引き起こします)、脳症(痙攣や意識障害)
【まとめ】
合併症を引き起こさないためには初期に適切な治療を行うことが重要です。
食中毒の原因となる細菌の潜伏期間を知ることで原因食品の特定に役立ち、早期対応、治療がスムーズに行えます。
医療機関受診時、受診後の経過を見ていく上での参考にしてください。
【参考】
食中毒;厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
食中毒と腸管感染症;国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/route/intestinal/index.html