赤ちゃんのRSウイルス感染重症化を予防する新薬ベイフォータス®
2024年3月、これまでシナジスしか選択肢のなかった予防薬に加えて、新薬のニルセビマブ(ベイフォータス)が承認され、5月に発売されました。
※RSウイルス感染症、シナジスについては下記のブログを参照ください。
シナジス外来 – 高津区の小児科・皮膚科- 二子新地ひかりこどもクリニック – 二子新地駅徒歩1分 (miyakawa-clinic.jp)
<ベイフォータスの特徴>
ベイフォータスは抗RSウイルス抗体薬で、短回投与で5か月間以上の有効性が示されている長時間作用型薬剤です。
毎月投与が必要なシナジスに対し、1回投与すれば1シーズン通じて効果が持続します。
<ベイフォータスの適応>
シナジスは重症化リスクの高い乳幼児に適応ですが、ベイフォータスはすべての乳幼児を適応として承認されました。
RSウイルス感染で入院する子どもの多くは基礎疾患のないお子さんであり、健康な乳幼児でも悪化する可能性があるため、諸外国ではすべての赤ちゃんに投与し重症化を予防することが推奨されています。
2024年3月にシナジスの保険適応疾患に肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常、神経筋疾患の5つが追加されましたが、ベイフォータスの保険適応疾患には含まれません。
<ベイフォータスの投与時期>
ベイフォータス、シナジスともRSウイルス感染流行時期に投与する必要があり、神奈川県においては、シナジスの標準的な投与期間(3月~10月または、4月から11月)と同様に、2024年シーズンは11月までがベイフォータスの投与可能期間となります。
シナジスからベイフォータスへの切り替えに関しては有効性や安全性のデータが不足しており、そのシーズンは同じ種類のもので投与を完遂することが推奨されています。
初回シーズンをシナジス、2シーズン目にベイフォータスを投与することは可能とされ、米国CDCは、1シーズン目のシナジス投与終了から8か月以降での投与に設定しています。
<ベイフォータスの保険適応>
※以下の対象以外のお子さんに投与する場合は自費となります。
生後初回のRSウイルス感染流行期において、
・在胎28週以下の早産で、12か月齢以下のお子さん
・在胎29-35週の早産で、6か月齢以下のお子さん
生後初回および生後2回目のRSウイルス感染流行期において、
・過去6か月以内に慢性肺疾患の治療をうけた24か月齢以下のお子さん
・24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患を有するお子さん
・24か月齢以下の免疫不全を伴うお子さん
・24か月齢以下のダウン症候群のお子さん
【用法・用量】
・生後初回の場合
体重5㎏未満は50㎎、体重5㎏以上は100㎎を1回、筋肉注射
・生後2回目の場合
(体重によらず)200㎎を1回、筋肉注射
【自費の場合の費用】
50㎎を投与した場合:600,000円(税込)
100㎎を投与した場合:1,000,000円(税込)
200㎎を投与した場合:2,000,000円(税込)
ベイフォータスやシナジスなどについて細かくお話を聞きたい方は、お気軽にお電話でお問い合わせください。
【参考】
全国の流行状況|SmallBaby|スモールベイビー (small-baby.jp)
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン Q&A 」
20240522Beyfortus_GL_QA.pdf (jpeds.or.jp)
新生児および乳幼児のRSウイルス感染症による下気道疾患の発症抑制・予防薬ベイフォータス®新発売 (sanofi.co.jp)