【子どもの肌を守る】虫刺されの種類と対処法
- 2025年7月4日
- 感染症あれこれ
夏になると、虫に刺されたり咬まれたりして、お子さんの肌が赤く腫れたり、かゆみを訴えることが増えてきます。
虫による皮膚炎(虫刺され)は、原因となる虫によって症状や対処法が異なります。
今回は、主に3つのタイプの虫刺されについて、その特徴とご家庭でできる対応策をご紹介します。
① ハチなどの咬症(こうしょう)による皮膚炎🐝
特徴
ハチ(特にスズメバチやアシナガバチ)などに刺された場合、強い痛みと赤み、腫れがすぐに現れます。
刺された部分が硬くなったり、熱をもったりすることもあります。
対処法
✔ まずは安全な場所へ避難(ハチが近くにいる場合)
✔ 針が残っている場合は、こすらずそっと抜く(ピンセットなどで)
✔ 冷やすことで腫れと痛みを和らげる
✔ 抗ヒスタミン外用薬やステロイド軟膏を使用(市販薬でも可)
✔ 呼吸困難、意識障害、じんましんが全身に出るなどの症状が出たら、すぐに病院へ(救急車の要請も検討)
★ハチアレルギーについて★
ハチは2回以上刺されたらショックを起こすというわけではありません。
ハチの毒に対して体がアレルギー反応を起こすかどうかは、回数ではなく、体内に抗体ができるかどうかに関係しています。
特に以下の種類のハチが関係しています:
・アシナガバチ
・スズメバチ
・ミツバチ
これらのハチ毒に対する特異IgE抗体を、病院の血液検査で調べることができます。
アシナガバチとスズメバチは似た成分の毒を持っており、交差的にアレルギーを起こす可能性があります。
一方で、ミツバチの毒は構造が違うため、ミツバチのアレルギーは別物と考えられています。
はじめてハチに刺された場合,1か月以上たたないと抗体はあがってきません。
検査の結果、抗体価が“クラス2”以上であった場合、次にハチに刺されたときにアナフィラキシーを起こす可能性があるとされています。
② 蚊やダニなどの吸血性の虫による皮膚炎🦟
特徴
蚊やダニは、皮膚に針を刺して血を吸います。
蚊の場合は、数時間後にかゆみが出るのが一般的です。赤く膨らんだり、かゆみが続いたりします。
ダニは、布団やカーペットに潜んでいることが多く、複数の刺し跡が集中して出るのが特徴です。
小さなお子さんは、まだ免疫反応が未熟なため、刺されてすぐには腫れが目立たず、翌日以降に赤く腫れてくることがよくあります。
特に、顔・手・足の末端部分は腫れやすく、むくみ(浮腫)を伴うこともあります。
年齢によってアレルギー反応のタイプが異なるため、症状の出方が少し異なります。
乳幼児期:遅れて症状が出る「遅延型アレルギー反応」が中心
幼児〜学童期以降:すぐに反応が出る「即時型アレルギー反応」が多くなる
対処法
✔ かかないように注意(かゆみが悪化し、とびひの原因にも)
✔ 冷やす・市販のかゆみ止めを使用
✔ ダニが疑われる場合は、寝具の洗濯・乾燥、掃除機で徹底除去
✔ 刺された跡が増えたり、化膿するようであれば皮膚科へ
③ 蛾や毛虫などの接触性皮膚炎🐛
特徴
チャドクガなどの毛虫、あるいは特定の蛾の幼虫には、毒針毛(どくしんもう)と呼ばれる細かい毛があり、これが皮膚に触れるとチクチクとした痛痒さと発疹を引き起こします。
触った覚えがなくても、風に乗って毒毛が飛んできて症状が出ることもあります。
遅延型アレルギー反応を起こす場合が多いので、触れた翌日に首、脇、体幹、四肢などに、たくさんの小さい赤い膨疹が集族多発して気づかれます。
接触から48時間くらいまで発疹が増えることもあります。治癒までには1-2週間かかります。
対処法
✔ 触れてしまった場合は、衣類をすぐに脱ぎ、シャワーで洗い流す
✔ 粘着テープで皮膚についた毛を除去(こすらない)
✔ 発疹やかゆみにはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を
✔ 同じ場所に何度も症状が出る場合、毛虫の発生源があるかも。庭木などの点検を。
最後に:虫刺されを防ぐには?
虫による皮膚炎を予防するには、虫除けスプレーや長袖の着用、寝具の清潔な管理など、日ごろの対策が大切です。
外遊びやキャンプの際には、虫の多い時間帯(朝夕)を避けるのもポイントです。
心配なときは迷わず医療機関へ
虫刺されや皮膚の異常が長引いたり、全身症状が出るようであれば、迷わず医療機関を受診しましょう。
お子さんの肌は大人よりも敏感で、症状が強く出やすいものです。適切な処置で、かゆみや不快感を早く和らげてあげましょう。
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