鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版によると、アレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%で、2008年の調査時より約10%も上昇しています。
5~9歳のスギ花粉症の有病率は、1998年7.5%、2008年13.7%、2019年30.1%と、10年ごとに倍増しています。
コロナ禍で家にいる時間が長くなり、室内環境の影響を受けることが多くなっています。夏から秋にかけてはダニの抗原量(ダニの死骸やフンなど)が増えるため、秋の鼻汁やくしゃみなどの症状は花粉だけでなく室内アレルゲンも考える必要があります。
検査と診断は?
アレルギー性鼻炎の方は、特徴的な鼻粘膜の所見がみられます。
当院でも鼻鏡を用いて鼻の観察を行い、下鼻甲介(かびこうかい)の粘膜のむくみなどを確認して診断します。
また、アレルギーの有無を確認するため、アレルギー検査を行います。
問診から原因アレルゲンを推定しにくい場合は、多項目を同時に測定できる「Viewアレルギー39」というアレルゲン検索がおすすめです。
また、イムノキャップといわれる指先から少量の血液で簡易的に検査ができる方法も行っています。この検査では、ダニ、イヌ、ネコ、ゴキブリ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギの8項目について検査ができます。低侵襲のため、小さなお子様にとっては実施しやすい検査となっています。
ガイドラインでの治療改定のポイント
最近、新たな抗ヒスタミン薬が追加され、小児でも12歳以上で保険適応がある薬が増えてきました。即効性が期待でき、副作用が少なく、1日1回の内服で飲み忘れの心配も少なくなります。詳細は受診した際にご相談ください。
アレルギー免疫療法(舌下免疫療法)の有効性についてだいぶわかってきました。小児科学会はじめ、いろいろな学術集会で多く取り上げられ、小児の分野でも有効な治療法の一つになっています。2014年からスギ花粉症に、2015年からはダニ通年性アレルギー性鼻炎に保険適応となっています。
当院でも舌下免疫療法を推奨しています。ご家族そろって治療を受けている患者さんもいます。治療期間としては3-5年継続することが望ましいとされています。抗ヒスタミン薬など複数種類内服しないといけなく長期間の服用が心配、抗ヒスタミン薬を内服していても効果が乏しかったり内服することにより眠気やぼーっとしやすいなどありましたら、是非、舌下免疫療法を検討してみてください。
出典元:鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版